ちよっとお茶しませんか? 〜気ままなコラム♪〜
終戦記念日に祖父を思う
私の祖父は職業軍人だった。
中将という位というが、中将がどのあたりの位置にあるのかまるで私はわからない。
ガンダム好きの友人が「それ、相当偉いよ」と言って驚いていたので、そうなのかもしれない。
祖父は私が生まれた時にはすでに亡くなっていて顔も写真でしかしらないが、亡くなってから60年以上たつのに毎年毎年エピソードが増えていく菱田家にとっては伝説のご先祖様である。祖父は、終戦後戦犯として巣鴨の拘置所にはいっていた。
祖父が拘置所の中で自分の半生を記していたものを数年前いとこが冊子にしてくれた。
それを読むと、国家と部下に対する思いがあふれていて時に胸が苦しくなる。
そこには、国のためとはいえ自分の息子と変わらないような年頃の男子の命をあずかっていることに底知れない畏れをいだいていた祖父がいる。
祖父が列車で移動中、可愛がっていた部下がいつの間にか祖父のところにきて深々と頭をさげる。「君は、この列車には乗っていないはずだが・・」と言いかける祖父の前からその子は来た時と同じようにすっといなくなる。翌日、祖父はその子の戦死を知ることになる・・・といった少し怖いけれどあたたかいエピソードもありほっとした。集団的自衛権というものをどう考えていいか戦争を知らない私にはよくわからない。
しかし、母親や妻の立場で考えたら息子が戦地に行くのを、夫が戦地に行くのを何としても阻止したいと思うに違いない。また、その子達を預かる側の人間だったとしてもその重さに耐えられる自信がない。結局、終戦を迎えた時、祖父は刃物をまわりからすべて取り上げられ、医療用に隠し持っていたメスで自決をはかるが、死にきれないうちに見つかってしまい、軍人としての人生を全うできなかったつらい終わり方をしている。
今年の夏はなぜか祖父を思う。
今の日本を今の私をどう見るか聞いてみたい。