ちよっとお茶しませんか? 〜気ままなコラム♪〜
「蜩ノ記」を読んで(うん、読書感想文っぽい)
夏だし、読書感想文でも・・・
葉室麟という作家の「蜩ノ記」是非読んでください。
本を開くと、いきなりきれいな川が流れている山間の村にはいっていけます。
そして自然に冷たい川の水を感じたりセミの声が聞こえてきます。
物語はある武士を中心にすすめられますが、この武士は数年後には切腹をしなければならないことが最初から明かされており、読む方もその重さをいっしょに背負うことになります。
一貫して静ひつで気品のある切ないけれど清々しい一冊でした。(以上)子どもがでてくると、それだけで胸にこみあげてくるものがある。(おばあちゃんか?)
「蜩ノ記」にも子どもがでてくるのだが、実に健気でいい子たちだ。
大のおとなをたじたじさせるほどの潔さがある。
浅田次郎の「壬生義士伝」(これもすごくよかった)の中でも主人公が幼かった時の話で思い出すだけで泣けるところがある。
貧しい暮らしの中、身ごもった子を流そうと冷たい川に入っていく母親に「私は長男だからおなかはすかない。だからご飯なんか食べなくてもいい。だから子どもを産んでほしい」(こんな文だったと思う・・・)と訴える場面は泣けた。
まだ小さな子どもにこんなことを言わせてしまう貧しさは哀しい。
だけど絶対ひもじいはずなのにこんなことを言いきってしまえる強い心をもった子はもっと哀しい。
小説だからと言ってしまえばそれまでなのだろうけれど、昔の子たちはなんて大人なんだろう・・・と思う。子どもだけどおとな。
今の自分が恥ずかしくなってしまうほど、考え方も感じ方も意思も心もしっかりしている。現代の大人は私もそうだが、おとなだけど子ども?
今のほうが教育の質もレベルも上がっていると思うのだが、それ以前の一番大切な何かを私たちはどこかに置いてきてしまったのかもしれない・・・。