ちよっとお茶しませんか? 〜気ままなコラム♪〜
シリーズ:想定外のゴールデンウィーク改め入院生活
その1:板付車椅子
現在、板付車椅子というのが私の足。
普通の車椅子との違いは手術した足を下に降ろせないように足乗せ板がついているだけ。
ただこの板のために動きが難しくなった。
そんなに長い足ではないが(いや、短くもないと思うけど)車椅子の長さが倍になってしまった。今まで普通車を運転していたのに急にトレーラーを運転することになった感じ。
で、病院にはあちこち手すりがついていてありがたいが、ときにはその手すりが邪魔になる。
クルッと方向転換できない。小刻みにバックと前進を繰り返す。
その昔、自動車教習所で習った縦列駐車の練習を思い出した。なるほど、経験した事、習った事に無駄なものはひとつもない。
その2:髪を洗う
気になるのは髪のこと。何日も洗髪していないので気持ち悪い。当初は逆立っていた髪が今日あたりは落ち着いてきた。よかった、よかった、ではなくベトッとしてきたらしい。
看護師さんに聞くと自分で洗えるなら洗っていいよ、との返事。これって「洗えるものなら洗ってごらん」という事だろうか…
私は介護施設みたいに週に何回かシャンプーしてもらえる日があるのかと思っていた…
たまたま娘が来てくれる日だったのでシャンプーをしてもらい、やっと人心地つく。
こうなると、そんなに来なくていいよ、と言っていた前言を撤回しなければならなくなる…
その3:院長先生
院長先生が失礼ながら面白い。
毎日、回診をしてくださるのだが、時々どこかに引っかかってしまう。看護師さんが慌てて探しに行く。
また、看護師さんのされている消毒をご自分でなさろうとする。有難い。ところがピンセットで消毒薬のしみたコットンを持つが早いかポロっと落とす…えっ!
毎日私の傷をスケールで測るが測り終えないうちに包帯は巻き終わってしまう。
帰りぎわには「あれっ?カルテどこ置いたっけ?」
でも、さすが院長先生。私のいっこうに引かない腫れは足を心臓より高くしていないから、と的確な指摘をされた。
おかげで、また寝たままの生活か…
その4:高齢者
世の中こんなにもリハビリを必要としている方が多い事に驚いている。
毎日行われるリハビリ、ご高齢の方が9割。
お前だって高齢者だぞ、というご意見ごもっともですが、私なんか下から数えた方が早い。キンさん、ギンさん、ドウさん…みたいなちょこんと車椅子に乗せられた方たちがいかに多いか。百歳を超えている方、そろそろ百歳を迎えられる方ばかりとの事。皆さん、理学療法士さんのおっしゃる通りに黙々と足をあげたりおろしたり、手のニギニギを繰り返したり。療法士さんのマッサージを気持ち良さそうに受けていらっしゃる。
言われた事がわからないのか療法士さんのウデをさすっている姿はきっと孫かひ孫と勘違いしているのかもしれない。
私も側でリハビリを行いながらおもわず笑っしまうようなやりとりを耳にするが、実はこの事実って問題をたくさん含んでいる。
たまたま、ケガをして入院しているが、病院は施設ではないので傷が治ったら家に帰らなければならない。看護師さんのお話では一人暮らしの方も多いとの事。同居の家族がいても、つきっきりというわけにもいかないでしょう。キンさん、ギンさんたちの足は私の手首より細い。これじゃ歩けないのでは、と心配してしまう。
こういうところに入院して初めて、行政の高齢者対策は全然足りていない事を見聞きし、そして痛感した。
きっとキンさんギンさんたちもこうした専門家に見守られていた方が安全で心地よいのではないだろうか。もちろん家族というサービスでは補えない一番大切なものがあることが大前提だが。職業としてゆっくり歩くのを手伝ってくれたり、オムツの替えをしてくれる方たちがいることは、まだそこまでの状況に直面していない自分にとって介護制度を知りたい、知らなくちゃならないと考えるきっかけになった。
その5:高齢者の運転事情
今回の入院で我が家の足はタクシーしかない。父は2年前に運転免許証を自主返納した。私がいるから、という理由だったが、その私が入院してしまっている。宇都宮市は年会費 500 円を納めれば生活圏内どこでも片道一回 300 円でタクシーが利用できる、という制度を2年前に導入した。しかし、いざ利用しようと電話しても電話にでない、今日は無理、などで今日に至るまで一度も利用できずにいる。
私は詐欺みたいな制度、と怒っている。
甘い言葉で都合のいい事ばかり並べて、開けてみれば実態なし!
いったいこの制度のためにタクシーは何台用意されているのかと問い合わせたら一台!との返事!
一台しかないなら利用者の人数制限をしなければバッティング覚悟で人集めする悪徳業者と同じである。
市はこの制度を本当に高齢者対策の画期的な政策と考えているのだろうか?
すみません、愚痴がとまりません。
なんか洗濯物の替えやなんやかんやと親に往復 5000 円近くを使わせていることが申し訳なくて。
そもそも私が転ばなければ良かったのです。