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学生納付特例制度
国民年金には、学生納付特例制度という免除のようで免除ではない、まさに特例の制度があります。
学生の国民年金納付は、制度が何回も変わり、現在の制度に落ち着いたのは平成12年4月からです。
一番最初は、20歳以上の学生は国民年金の対象外としたうえで、任意加入を認める、とされていましたが、平成3年4月からは強制加入になりました。
したがって、この時期に学生で(実際本人の収入もなければ、親も学費で大変な時期ですね。)保険料を納付していない場合、「未納」となっていますが、免除の手続きをとっていれば、年金には国庫負担分(当時は年金額の3分の1)というものがあるので、実際は納付していなくても、しっかり手続きをしていたということで、将来、その免除期間分について国庫負担分の年金が受給できるというものです。
ところが、平成12年4月にまた制度が変わりました。
これが現在のかたちですが、20歳以上の学生は、強制加入という点は同じです。
しかし、本人所得により保険料の納付が猶予されるというものに変わりました。
あくまでも猶予なんですね。
一般的に「学生免除」といっていますが、免除とは違います
加入したうえで、保険料を払うのは10年間の猶予をあたえましょう・・・ということです。
自分が学校を卒業して働くようになり、それなりの余裕ができたら、当時の保険料を納付してください、というものです。
そして納付してはじめて将来の年金額の計算に算入されることになります。
では、10年間払わないままその時が過ぎてしまったら・・・・年金額は納付特例制度をつかって納付していなかった期間は計算されません。つまり、20歳から60歳まで国民年金にずっと加入していたとしても、学生である20歳から22歳までの2年間は年金額の計算上はじかれますので、38年間納付していた計算になります。(満額になるには、2年分たりないということです)
じゃあ、未納と同じではないか・・・と思ってしまいますが、ここがやはり違っていて、未納ではないが年金額としては計算されない期間です、としか答えようがないです。
障害年金の請求を例にすると、たとえば、大学卒業後、お勤めして厚生年金に加入したとします。ところが、不幸にも就職して、すぐ障害を負ってしまった場合、障害年金を受給するには、国民年金の納付が3分の2以上あるか、または直近一年間の未納がないか、などの納付要件を満たしていなければなりません。
この時に学生納付特例制度の手続きをしていた場合、実際納付はないけれど、手続きをしていたということで納付要件を満たすことになり、障害年金を受給できます。
一方、手続きをしていないと、今は厚生年金にはいっていても、入社して1年たっていないので、直近一年の要件もみたさず、国民年金も学生の間は未納となっているため3分の2以上の納付要件も満たさず、障害年金の受給ができないことになります。
と、まぁこんな制度ですが、この制度を利用するには、20歳になって国民年金の納付書が送付されてきた時に、なかに学生の場合、こういった制度があるので保険料を納付しないなら、手続きをしてください、といったパンフが入っているので、問題はないのです。
しかし、卒業して10年が過ぎようとする時、分厚い納付書が突然届き、いったいこれは?ということでご相談をうけることがあります。
つまり、今ならまだ学生の時の保険料、払えますよ、この時期をのがすともう払えなくなりますよ、というお知らせですね。
自分としては、手続きを両親がしていたので、すっかり払っていたものと思っていたところ、10年たっていますから、利子もついて結構な額の納付書なのでびっくりしてしまうわけです。
なかには、こどもが大学を卒業して学費から解放されたので、払っていなかった国民年金の保険料を納めたいのですが・・・という方もいらっしゃいます。
2年間は保険料に加算額がつかないので、どうせ払うならこの時期が一番いいかと思います。
それに、国民年金の保険料は全額社会保険料として税金を計算する時に控除の対象になるので、ご本人でなくても生計を同一にしてる御両親が払うことでこちらにもメリットはあります。
その時は市役所の国民年金課か年金事務所に納付書の発行を依頼すれば、喜んで送ってくれますよ。